おもしろい?『悪童日記』アゴタ・クリストフ
ブルータスでも、ダ・ヴィンチでも、書籍の特集をやるときは必ずといっていいほど目にしてきた、アゴタ・クリストフの最も有名な処女作。
読んでみたいと思いつつ、手に取らなかったのだけど、海外純文学のなかでは、カミュの『異邦人』に劣らないショックを受けた。
ハンガリー出身の亡命作家による、双子の男の子の日記というスタイルの作品は、そのひとつひとつのエピソードがいちいち鮮やかで醜悪である。
戦争、貧困、吝嗇、憎悪、性行為、兵隊・・・数々の厳しくおぞましい人間世界が、怜悧な少年二人の目を通してあけすけに語られる。
少年があまりにストイックで残酷だから、世界の醜さが際立つ。しかしその世界に彼らのやり方で順応していくさまが、常識脳では考えられない展開に。
知性が高すぎるゆえに嫌味で高慢。しかし限りなく正義で慈悲深い。悪魔と天使をあわせもつふたりの「悪童」。実際のタイトルはただの『日記』のようだが、なかなか挑戦的であっぱれな邦題ですね。訳者の愛着が、あとがきからも伺えた。
しかし前日に読んだカズオ・イシグロや村上春樹が眠気を誘うのに反して、この本は覚醒作用があるので、読むとなかなか眠れなくなった。
あと、ちょっと性描写がね・・・。ちょっと受け付けないタイプの描写がいくつかあるので、誰にでも薦めるわけには行かない。
いやはや、なんの飾り気も無い文章なのに、全体的に鮮やか!
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