elephants' ミシュラン 映画

『アフタースクール』

Photo大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人共演によるミステリーコメディ。人のよい中学校教師が、あやしげな探偵の登場によりかつての同級生探しに巻き込まれる。監督は『運命じゃない人』でカンヌ映画祭4冠を達成した内田けんじ。

★★★★

いやー、けっこう、邦画にしては・・・期待をかなり上回ってくれたので、というとものすごく偉そうですが・・・なんとなくジョージ・ロイ・ヒル監督ロバート・レッドフォード主演の『スティング』を思い出しましたね。先入観と役者のイメージを利用した、鮮やかな展開が・・・。

オチにさらにオチがあり、さらにまたオチ・・・どれが本当?堺くんや大泉、佐々木蔵之助、常盤貴子・・・のキャストのイメージがものすごく裏切られる
・・・裏切られる?いや・・・裏切られない。

いや、もしかして見た事のない人がいたら野暮なので書かないことにします。
すごく複雑なような
でも言いたいことはすごく、ひどく、ものごっついシンプルなような・・・いやあ・・・感心しました。

大泉洋の最後のセリフが忘れられません。『クラス』を『社会』に置き換えると、じんわりと、心に染み入りました。酔ってなかったのに集中して見れた映画は久しぶりです。拍手、拍手。私、小説家に成りたかったけど、書きたかったものってこういうことかも・・・と思いました。

良い作品(映画、音楽、小説、絵画など、芸術あらゆるもの)は、すべての相反する要素(善と悪、汚れと純粋さ、信頼と裏切りなんか)をものすごく自然に含んでいると思います。
そう言う意味で、優れた映画でした。もっと最初からじっくり見ればよかった。bleah

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『かげろう』 ギャスパー・ウリエル、エマニュエル・ベアール

Photo戦争未亡人と、息子ほど年の違う青年の淡い短期間の情事・・・
そんな映画かな、と思ってたんですよね。よくあるじゃないですか?

でも・・・それよりもっと、人間として哀しい・・・映画でした。

彼らが初めて結ばれるのは、ずっと映画の最期の方です。

夫人は戦争に巻き込まれて家を失った自分と子供たちを、助けてくれ、いたわってくれる粗野な青年を警戒し続けます。子供たちは彼に心を開くけれど・・・。

タイトルの意味が、最期にわかります。

私は、かげろうは、女だと思っていました。エマニュエル・ベアールだと。
けれど・・・

ギャスパー・ウリエルは、『ハンニバル・ライジング』でかなりがっかりした俳優なのですが、この映画の、無骨でシャイで、逞しくそして哀しい姿に、役者って素晴らしいと思いました。

伏し目からエマニュエル・ベアールを見上げるそのまなざしの一途さは、痛いほどです。
あんなふうに恋焦がれられるというのは、どんなに、苦しくて美しいことだろう。

我慢に我慢を重ねたふたりの、耐え切れない思いがやっとぶつかる瞬間・・・

こういう恋愛を、羨ましいと思った。本当に。

でも、ラスト・・・泣く暇もなかった。
やりすぎない脚本が良かったです。

とても良い映画だった。

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砂の影

Photo

江口のり子、ARATA、米村亮太朗による、三角関係を綴った八㍉映画。
三角関係というよりも、江口のりこ演じるゆきえと玉川(米村)の平穏な恋人生活に、突如風変わりな真島(ARATA)が現れ、ゆきえを愛し始める。そして、ゆきえの世界のバランスが少しずつ狂い始めてゆく・・・そんな話だ。
あまり後味の良い映画ではないのだけど、ひどく心を動かされて、翌日仕事をしながら何度もこの映画のことを考えた。
ゆきえ役の江口のり子は、ドラマ「時効警察」の脇役のひっつめ髪の女性(だと思う)で、「ジョゼと虎と魚たち」の妻夫木演じる主役のセフレ役で、体も目も細い不美人(失礼)。でも、目がぱっちりした美人じゃないところがすごくリアルで、性描写もほとんどないのに、なぜかものすごくエロい映画だった。
まずARATAが素晴らしいと思う。
ARATAは「ピンポン」位しか見たことが無くて、全然注目していなかったけど、存在感のセンスみたいなもの・・・がキョーレツで、零細企業の倉庫に居座る変人サラリーマン役がハマっていた。
それで、化粧気もないただかたくななゆきえを愛しているその執着心がすごく純粋で、あり得そうで、そしていやらしかった。

早くセックスしちゃえばいいのに・・・
と思った。

展開的には、さてさてその後・・・。

この映画は少し大人になりかけた20代前半の頃に、なんとなく夢見ていたような恋愛の世界だ。
だから懐かしい。
限りなくエロく、限りなくプラトニックな映画だった。
8㍉を用いたことで絶賛されているらしいけれど、画像が見えにくく、成功なのか失敗なのかよくわからなかった。
まあ、半分・・・成功なのかな、普通のフィルムの質感で十分だと思ったりもするんだけど。
ここ数年で見たまともな邦画ベスト10にはまちがいなく入るであろう。(「サッドバケイション」「嫌われ松子の一生」「ジョゼと虎と魚たち」「赤い文化住宅の初子」とか)
ラストは、もうちょっとひとひねり欲しかったですね。

しかし・・・ARATAすごい。すごい。
若松孝二の「実録・あさま山荘〜」にも、坂口弘役で出ていたと思うけど、やっぱり顔立ちが綺麗でスタイルが良すぎるのが裏目に出ている部分がある。
役もちょっとクリーンな役だったので、今回のくったりしたサラリーマン役ってすごく良かった。すごく良い意味でいやらしく、下品だった。

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『山のあなた~徳市の恋』

Yamanoanata

名匠・清水宏監督が70年前に発表した佳編『按摩と女』を、『茶の味』の石井克人監督が完全カヴァー。SMAP草なぎ剛が盲目の按摩師を演じる。

winkコメント

全国の劇場で1000円で見られます。

私は封切の今日、旦那さんと富谷109シネマで見て来ましたが、がらがらに空いていました。

本作は本当に変わった作品で、昔の作品をリメイクするのではなく、忠実にカヴァーしています。スマップのくさなぎ(漢字が出てこない)が盲目の按摩師に扮し、温泉街に現れた謎の美女に恋する役を演じるのですが・・・

石井監督は、この作品をカヴァーするに当たって主役は彼しかいない!と思ったそうです。私は、そうかなあとは、思うんですけど・・・

つまらないと思う方もいると思います。現代的な映画ではないし、現代的な解釈も加えていないし・・・

私は、日本人がまだ着物姿で歩いていた頃の日本の文化をとても好きなので(情緒感や言葉遣い、小説など)、この映画のもつうつくしさに惹かれました。

徳市役のくさなぎくんや相棒を演じる加瀬亮くんの演技・・・彼らは現代の役者なので、違和感があった感じがします。昔の感性で作られた映画をそのまま再現するのですから、そのズレ感みたいなのはあって当然だと思う。

でも、温泉街に現れる謎の男役・堤真一と、徳市の恋こがれる美女役のマイコという女優、それに三浦友和は古い映画にとてもよく馴染んでいましたね。

間の取り方とか、雰囲気とか・・・ぴったりでした。

最近、新しい世代の監督の作品に三浦友和はたくさん出ていますが、『転々』(三木聡監督、オダギリジョーとの共演)、私にはどうも三浦友和なんかは、浮いて見えていました。

それが、『山のあなた』では、しっくり馴染んでいて、『伊豆の踊り子』なんかを思い出したりして。

伊豆と栃木の風景(エンドロールに撮影場所として流れていました)がとても美しくて、音楽も美しくて、終わった頃にはなんとなくしんみりして、ほろっとしました。

旦那さんはつまらなそうでした。。。人によるんですね。

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